心、温めますか…? Coda コーダ あいのうた
はじめに
『愛を伝えるのに言葉はいらない...』
リクライニングチェアーを倒し、センチメンタルに男はそう夢想するのである。
少年少女が人と出会い音楽を通して成長する作品が何よりの好物
どうもゴライアスMKです。
青春+音楽+愛
いいよねぇーーーーーー!!!(語彙力の欠如)
ということで、今回はこちら
『家族愛をテーマにした、少女ルビーの青春の物語』
【Coda あいのうた】
をレビューしていきたいと思う。
注)
この作品が未視聴であるならぜひ視聴してからまたここに来て頂きたい。
未視聴で触れるにはあまりにもったいない。
観てない方は視聴後、1時間51分後にまたお会いしましょう。
俺的備忘録あらすじ
登場人物
向かって左から
ルビー、フランク、ジャッキー、レオ
・ルビー
主人公。歌うことが好きな高校生の女の子。合唱部。学業の傍ら家族の仕事を手伝っている。家族で唯一耳が聞こえる。
・フランク
父。漁師をしている。ひょうきんな性格で下ネタ好き。いんきんたむし。
俳優は『トロイ・コッツアー』この作品で最優秀助演男優賞を受賞。
・ジャッキー
母。内に篭った性格で家族で一番聴覚障害にコンプレックスがある。少しルビーに依存気味。ダメな母親と自称するが家族を想い。
・レオ
兄。ルビーに頼りがちな両親とは変わって、自立しようと奮闘している。やや気の強い性格で喧嘩っ早い。言葉はキツイが妹の歌への想いの良き理解者。
・マイルズ
クラスメイト。合唱部ではルビーとデュエットをすることに。途中ルビーとは恋仲に。
・V先生
ルビーの音楽の先生。ルビーに音楽の才能を見出す。変わり者だが作品随一の良心。
あらすじ
自分を除いて家族全員がろう者(聴覚障がい者)のルビー。
物語の冒頭、ルビーは早朝の漁を終え学校に向かう。
学校では選択授業を決める日のようで、ルビーは合唱を選択する。
授業ではルビーの想い人であるマイルズという少年。クセ強めなV先生。
ルビーは発表会に向けて歌の練習をしつつ、V先生に才能を認められてからは、音大合格のため個別授業に励むのだった。
感想
「めちゃめちゃ説得力のある作品」だった。
映像はどこか妙にリアルで生活感があり、登場人物がどう生活しているかが説明せずともすーっと理解できる。心の浸透率はさながら、水なしでも飲める薬のよう。
なにより一番は演出だと思う。
例えばルビーの選択授業の合唱の発表会を家族が観に来たシーン。
当然家族はろう者なので学生が何を歌っているのかさっぱり分からない。
ルビーの母親は発表会の途中なのに帰った時の買い物のことを考えている始末。
私もそんな光景に、まぁーそりゃ歌の発表なのに歌聴こえないんじゃ退屈だよなー。
と、なんとなく分かった風に思っていたのだが、ルビーとマイルズのデュエットのシーンの演出で演出家に横っ面引っ叩かれるように分からされた。
ルビーとマイルズがステージに上がり歌い始めると、急に映画の音が全部無音になったからだ。
しばらく無音のまま、やがて父親の顔のアップから目線カメラに。
父親は周りの観客に目を配る。関心している人、涙を流す人を見て父親はルビーたちの歌を確かめる。
このシーンは痺れた!
歌が好きな女の子が主人公の映画。その子が劇中練習していた、たった二曲しかない内の一曲!それも主人公の想い人とのデュエット!そのお披露目が無音だぜ!?視聴者はさぞかし素敵な歌声に期待してそっとティッシュ箱を小脇に挟んで待っているのに!
その時に無音の演出が入って分からされるわけだ。
父親の、歌が聞こえない無念な気持ちと、周りにルビーの歌が認められてる嬉しさ。
そんなろう者の気持ちを。
映画的には見せ場だろうシーンを敢えて視点を変えることで、また違った見せ場にする。加えて視聴者には作品のテーマであるろう者の疑似体験を添えて。
完璧過ぎるだろ!!
(暑い日の部活練習の休憩時間に水とバスタオル渡してくれる顔の可愛いマネージャーが「よければどうぞ」ってハチミツに漬けたレモン出してくれるみてーなよぉ!(ちょっと何言ってるか分からない)
帰宅後の夜、車の荷台でルビーが父にさっきの曲をアカペラで歌う。
父親はもちろん聴こえていないが、ルビーが震わせている喉に手を当て、確かめるように指や手の平で振動を感じ取る。
なるほど耳の聞こえない人はそうやって歌に乗せた想いを汲み取るのかと目から鱗でした。
今回は父親が手に伝わる振動で感じ取れているからか、ちゃんと音ありで聴こえる。
おそらくさっきのシーンの対比として演出も狙ったのだろう。上手いなぁ…
(ルビーの歌声に期待してた私もニッコリ。ていうかそんなの忘れてボロ泣きした)
映像のリアリティ。
数々の名曲。
考えられた演出。
それら殺さずさらに良く魅せた俳優さんの演技。
1視聴者の私でしたが、気付いたら歌が好きな女の子を持つ耳の聞こえないインキンタムシな父親にさせられていた。そんな作品でしたね。
文句なしの満点です。
(この作品は実際のろう者を起用しているらしく家族役全員耳が聞こえないとのこと。
どうやらろう者の俳優の方たちには以前から、ろう者役にはろう者を!という話があったようだが中々上手くいかなかったよう。
確かに作品の出来は本物のろう者を起用したことで良いように影響したと思う。喉に手を当てるシーンもそうだが、ただ呼ばれて振り返るだけのシーンでも、言葉に上手くできないが違いがあるように感じた。
ろう者からするとそうでない俳優が演じているのは、我々で言うアニメ映画や吹き替えにアイドルや芸人使ってるような感覚なのだろうか?
その辺詳しいひとに尋ねてみたい)
終わりに
いやーしかし、こんなに温かい気持ちで涙したのはいつぶりだろうか…
収容所でこの映画を流す刑とかあれば再犯減るんじゃないか?ホント。
こんな温かいストーリー見れば1月の寒いシングルベットの布団も
ぽっかぽk…